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主催は京都市西京区の学習ネットワーク「もうひとつの学びの場」(代表・栗生喜夫さん)。教師や親たち約百人が参加して熱心に耳を傾けた。
ミラーさんは「ホリスティック教育とは心と体、個人と共同体、論理的思考と直感、地球上の様々な命などの間の“かかわり”に焦点を当てた教育」という。
しかし、「これがホリスティック教育だ」とする決まった形はない。
ミラーさんの本の翻訳者で大阪女子大助教授・吉田敦彦さん(教育人間学)は「特定の教育方法ではなく、各地でいろんな人が試みている新しい実践を、共通の土俵に乗せて、これまでの学校教育に代わる一つの大きな流れをつくりだす、いわばネットワークのための概念」と話す。
教科や時間のワクを取り払った「シュタイナー教育」や知、情、意をトータルに伸ばす「全人教育」等も含まれる。「あれかこれか、ではなく、あれもこれも、がホリスティックな考え方なんです」
講演で、ミラーさんは「20年以上この考え方を提唱してきましたが、80年代末から急速に人々の関心が高まってきました。それは、あらゆる分野に地球的規模で広がっている変化に、この考え方が符合しているからです」と語った。
民主化への動き、環境意識の高まり、精神的なものへの関心…。象徴的な出来事が、ベルリンの壁の崩壊だったという。
「単に冷戦の終結だけでなく、いろんな制度、システムのために分け隔てられていた、人と人との間の障壁が取り払われていく象徴でもありました。こうした変化の中で、ホリスティックな見方は教育だけでなく、心理学、医学、生態学などでも新しい流れを作り出しています」。
わが国では平成2年に「ホリスティック教育研究会」(代表・手塚郁恵さん、約200人)が結成され、各地のユニークな取り組みが報告されている。 一方、参加者からは「ホリスティックという言葉はなくても、個性や創造性を重視したユニークな教育を行う学校は昔からある。どこが違うのか」「公教育にどう取り入れたらいいのか」といった質問が相次いだ。
ミラーさんは、カナダ・オンタリオ州で昨年、州の教育指針に「すべての教育はホリスティックな観点から見直されるべきである」と明記されたことを挙げた。その上で、「現在、一部の私学だけの試みが、ホリスティックな考え方の普及によって、すべての学校で取り入れられるようになります」と説明した。
ミラーさんは来月26日まで滞在、各地で公開講座や講演会を開く。問い合わせは、神戸親和女子大児童教育学科合同研究室の山根教授(078・591・1651)まで。著書「ホリスティック教育」は春秋社刊、2900円。 |