|
ホリスティック教育導入10年 心と体、人間と自然をつなぎ 学び、生きる喜び 今こそ子どもに |
| 教育医事新聞 2001年2月25日掲載 |
日本にホリスティック教育の考え方が導入されて十年。いま、二十 一世紀の教育理論として、教育界で注目されるようになってきた。 頻発する未成年の事件などに象徴されるような、これまでの知育偏 重教育の行き詰まりに対して、新しい局面を求める動きがあると指 摘されている。ホリスティック教育の理論とは何か。なぜ、ホリス ティック教育が必要なのか。今後の展開などについて、日本ホリス ティック教育協会運営委代表の吉田敦彦・大阪府立大阪女子大学助 教授に聞いた。
ホリスティックとは、ホール(全体)、ヒーリング(癒し)といっ た言葉と同じく、ギリシャ語のホロスを語源としている。ホリステ ィック教育とは「つながり」という言葉をキーとして、ばらばらに なったものを全体として統合し、関連づける理論を基にしている。 全人教育や総合学習などの次代の教育を支える理論として、支持の 輪が徐々に広がってきた。
従来の教育の突破口として期待が高まってきた理由を、吉田助教授 は「日本の教育がこのままでいいと考えている人は少ないだろう。 しかし、具体的な解決の方策が見えてこない状況の中で、ホリステ ィック教育の理論が説得性をもって提示されたということだと思う」 と話す。
不登校の子のために共に学ぶ揚を作ったり、環境教育の分野で尽力 したり、総合学習の推進を考えたりと、地道に新しい試みをしてい る人は決していなかったわけではない。それが一つの方向に向かっ て像を結んでこない実態があった。それを大きな一つの流れとして つなぎ直していく観点が、いまホリスティック教育が必要とされる 大きな理由だろうという。
「明治以来、近代の教育は一貫して効率を追求し、知と心と体を別 の物として、知識を詰め込むことに腐心してきた。それがここへき て行き詰まりを見せている。今こそ、心と体、教科と教科、学校と 地域、人間と自然といったあらゆるものをつなぎ合わせることで教 育の方向性を変えていく必要があるのです」。学校教育の中で総合 学習が取り上げられるのも、今の教育が変わり目にあることを象徴 しており、ホリスティックな観点の一つの展開だろうという。
「これまでの教育が忘れてきた学ぷ喜びや生きる喜びを育てる、生 活に根ざした学び方の大切さがこれからの課題。さまざまな人と出 会い、自然とふれあい、教室を離れ、教師と生徒という関係も変化 していくでしょう」
ホリスティック的な教育の実践例として、関西では学校をあげて総 合学科制をとる大阪府立松原高校や、来春開校予定の京田辺シュタ イナー学校がある。大阪府教育委員会主催の指導者研修にもホリス ティック理論の研修が取り入れられるなど、ホリスティック教育か らは目が離せない。
連絡先は日本ホリスティック教育協会事務局(新潟県小千谷市城内 1-1-19 電話0258-82-5057)。
新聞雑誌記事のページへ